久しぶりに新しいのを描いて解説したくなったので、やっていきます。
作品はこちらです。
ドラゴンですね。大好きなテーマというか、一番親しみのあるテーマというか・・・
でも、今回のドラゴンは、例外だらけの変な作品なんです。
先ず、描こうと思ったきっかけは2つあって、1つはセブンスドラゴン(未プレイ)の設定資料集を買ってしまったら、シビれるドラゴンがたくさんいたので、自分もドラゴンが描きたくなったこと。
2つ目は、最近美術関係の学校を掛け持ちで通っていまして、そこで教わっていることがお互いに全然違っていて、自分が今までやってきたこととも、これまた全然違っていて、頭の中がぐっちゃぐちゃになって、もう1回自分の原点に戻るというか、お前は自分の絵を何だと思ってるんだ、みたいな脳内会議が始まって・・・結果
やっぱシルエットだろう!
と、それなら一番慣れ親しんでいるドラゴンで、シルエットが立っている絵を描くしかないだろう!
ということで、描き始めたのが今回の作品なんですが・・・
描くに当たって一つだけ意識したことがあって、それはあんまり色や柄を入れまくらないこと。
ちょっと前に友人とこんなやり取りをしました。
王田「じゃあシルエットを強調したければ、色とか柄とかは出来るだけ抑えなきゃいけないの!?」
友人「当たり前だろ!!」
王田「ええっ、そんなのつまんねーじゃん!」
友人「知るか!!」
これがずっと引っかかっていたので、今回は出来るだけ色を抑えて抑えて、灰色ベースで行こう。と考えていました。
さて、意気込んで描き始めてみたものの、いい線が全く出て来ない。
ああ、自分らしい線って何だろう。
ああ、こんな線ちっとも面白くねーなあ、サルでも思い付くわ
ああ、ロミオ!どうしてあなたはロミオなの!?
最近ずっと大きい紙で描いていたので、時折B5って小っちぇーなあとか、危機的なことを考えたり・・・
何枚か出来上がりかけた下描きを「何かピンと来ない」とかいう陶芸家のような理由でボツにして、「ダイナミズムが足らん!うらあぁ!」と首のラインを描いたらやっといい感じの線が出て来たので、ようやくこれで行こうと決まりました。
最近、線を描くという行為そのものが絵を描くことの楽しさの一定割合を占めてるんじゃないかという気さえしてきて、ダイナミックに線を描くと、もうそれだけで楽しい気持ちになりませんかね。
そういうところから気分が乗って来て、いい線が生まれたりすることもあるようなないような(末期)。
それとやっぱり、自分にとっての絵を描くことの楽しさって、何でもありなところで、面白ければ何でも良くて、3D化不可能な造形さえも、紙という2D媒体だからこそ出せる独特の面白さと言えるんじゃないかなと。
まあこれは、自分が目も当てられないほど下手くそだという言い訳でもあるんですが・・・
さて、色を塗る段階になって案の定困ったことになりました。
色を絞るって・・・どうやるの?
だって普段描いている絵って・・・
こんなんとか
こんなんですよ
色なんか絞れるかっ!
そこで、セツ・モードセミナーの合評を思い出す訳ですよ。
「このグレーもいいわねぇ、グレーの中にも色んなグレーがあって」
これだっ・・・!
ということで、薄い灰色、濃い灰色、緑っぽい灰色、青っぽい灰色とか、色々作って何となく塗ってみる訳です。
あれ?何かキレイかも!
そして・・・
「うるせえ!柄なんか後で上から乗せりゃあいいんだよ!おらぁ!」
「きゃあっ!あなた止めて!」
「うるせえ!それより酒持って来い!酒だ酒だ!」
「きゃあっ!」
とばかり、がんがん塗っていきます(多分、線を描くことそのものの楽しさと同じように、筆で色を付けることそのものの楽しさもある気がする)。
実は私、普段こんなことは絶対にしません。柄のスペースをちゃんと空けながら、コピックでちまちま塗りつぶしていくんです。
セツの人物水彩や風景画でやってみたように、細かいことは気にせずに、色を重ねて柄を上乗せして、輪郭とかもあまりこだわらず、べったべったと厚塗りで塗り倒します。そうすると、不思議なことに何かキレイな絵が出来てきたんですよ。
何とかして自分の描き方をセツの課題に持ち込んでやろうと思ったのに、逆に自分の作品にセツの手法を持ち込むことになってしまった。何なんだよあの学校は、ほんとに!(ステマ)
しかも、それでシルエットがちゃんと立ってるんですよ!
これは面白い発見です。
輪郭をぴっちりと縁取りして、その通りに塗らなくても、線が立つ絵って出来るんですね。
話が散らかってきたので強引にまとめると、今回はとにかく、描こうと決めてから出来上がるまで、かなり悩んで七転八倒しました。
しかも、色と柄を絞って、コピックを一切使わずに全て水彩で仕上げ、輪郭をきっちり取らずに、柄も上乗せするという、例外まみれの凄いことになりました。
でも、生まれてきたものは、絵本の世界のラスボスのような、恐くて強そうなのに、どこかファンシーで、これまでの作品の中でも異彩を放つ印象の絵になりました。
ということで、しばらくこの方法を追求するかも。
ちまちました作業が苦手な自分の性に合っている気がします。
では、ご清聴ありがとうございました。