国分寺から国立を歩く

珍しい額を買えた。

大正時代から昭和初期の額だそうだ。
次に描こうとしている作品と何となく合うのではないかと思って、一思いに買ってしまった。

最初はマットを入れることを想定していたが、お店でマットなしで直接作品を置いた状態を見せてもらい、とても魅力的だったのでこのまま額装できそうだ。



そのお店というのが国立にあるコレノナさんというところ。
明治から昭和初期辺りまでの人々が描いた絵が置いてあるところで、お店自体も前から気になっていたので、直接引き取りに伺うことにしたのだった。

国立という街はほとんどなじみがない。
大学時代に、一度だけカレーを食べにきたことがある。
東京駅から中央線で向かうと国分寺で乗り換えをしなければいけないので、どうせなら国分寺から国立まで歩いてみることにした。

少し早めに家を出て、東京駅に着いたのが12時ちょっとすぎ。なんと、国立駅で事故があり、運転を見合わせているという。
運転再開は13時10分ころとのこと。これはいかん。

秋葉原→三鷹→国分寺というルートに切り替えることにした。

秋葉原に着いた辺りで、東京ステーションギャラリーで「大津絵」の展示をやっていたことを思い出し、運転が再開するまで観ていてもよかったかなと思ったりする。

ともあれ国分寺に着く。
先ずは隣の駅、西国分寺を目指すが線路沿いを直線で進めないタイプのようだ。

国分寺の辺りは、緑が残っていて起伏が割りと激しく、成城や喜多見と雰囲気が似ている気がした。

すごいところに街灯がある。

至近距離で灯りの部分を見たのは初めてかもしれない。

この辺りの街灯はみな、焦げ茶色で統一されていて、もしかしたら意図的に印象をそろえているのかもしれないなと思った。
成城の街灯も全部焦げ茶色で統一されていた。

内藤ぞう公園。
「内藤」はこの辺りの町名らしいのだが、「ぞう」と一緒に来られるとちょっと面白い。

熱川バナナワニ園みたいなことか。

となると、内藤さんの方も何かフルーツを摂りいれたらどうだろうか。
美容と健康にもいいし。

「内藤ブドウぞう公園」とか、ちょっと韻を踏んでるし、声に出したくなりませんかね。

ぱおん。

この公園の主である。
台の色とぞうの色変えちゃったから、台が舌みたいに見える。

国立に近づいてきた。

2色の街灯は、見つけるとちょっと嬉しい。
緑色とクリーム色は上品でとてもきれい。

点灯していると分かりやすいが、菱形の模様が入っている。
こういう、ちょっとひと手間入っているのはいいですね。

これまさか1058年創業じゃないよな。

1058年は藤原頼通の時代で、平等院鳳凰堂が建立された5年後だそうですよ。

駅前通りらしくなってきた。

左右で色の違う街灯も珍しい方ですね。
オレンジ色というのがまたニクイ(何が)。

どうでもいいんだけどこの辺り、夢のなかでたまに出てくる風景と似ている。
初めてきたはずなのに不思議だなあ。

前世は、1058年創業の床屋さんだったのかなあ。

珍しいタイプの室外機。



国立駅に着いた。

街灯がとんでもなくゴージャスである。
なにせ金があしらわれている。タイの街灯は割りとこんな感じだった気もする。

国立は街並みがよく整備されていて、人工的に作られている印象がある。

ところで、「オオカミこどもの雨と雪」という映画がある。
これが好きな映画ランキング3位なので、まあだいぶ好きな映画といっていいはず(ちなみに分母は多分、50~100の間くらい)。

その舞台となっているのが国立で、駅前を歩いていると少しノスタルジックな街並みとあいまって、自分の心の繊細な部分を突かれたような、何ともいえない「ぐはっ!」という気持ちになる。

せっかくなので、映画にも出てきた洋菓子屋さん「白十字」でお菓子などを買って帰る。

駅の反対側はもう少しひっそりとしている。

街灯もさることながら、「光」というフォントに自前でこしらえたオーラが漂う。

例えば、「国立を震撼させるようなものすごい街灯を作ったるでぇ!!」となった時に、色やデザインにまず意識がいくと思うのである。
なので、フォントにまで手が入っていたりすると、お!気合が入っているなと思ってしまう。

この辺りでコレノナさんへ行き、無事に額を引き取る。

コレノナさんは、内装もかなり独特で、有無を言わさず時間の重みを感じさせる作品の迫力もあり、小さな空間ながらエネルギーがあり、圧倒されるような、吸い込まれるようなお店でした。

帰りは、何となく通り過ぎてしまっていた西国分寺を目指すことにした。

・これ空気入れだよね
・空気入れの単位は「1品」なのか
・そもそもこれは空気入れなのか
・100円はどこに払えばいいのか
・本来は後ろの棚のようなものに何か置いてあってそれが100円なのではないか

などなど、疑問が泉のように湧き出てくる。

ゾウのマスクの位置そこでいいのか。

西国分寺駅に着いて電車に乗ると、埼玉の方まで行ってしまい、えらい目にあうのだが、それはまた別のお話。

ではまた。

outa.waruagaki
都内在住。2016年2月までタイに2年半在住。絵を描いたり、街灯のことを書いたり、散歩したり。

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