世界一のゆたか通り

【前回までのあらすじ】(※茶番につき読み飛ばしても大丈夫です)

街灯ハンター・王田土人は、街に繰り出しては手当たり次第に街灯を撮りまくっていた。その姿はまるで飢えた肉食獣のよう。目は血走り、何かに憑かれたような狂気を宿していた…。アジト(自宅)に戻って画像を漁り、地味な編集作業などをしていると、彼はとんでもない街灯を見つけてしまった。「コ…コイツはッ!!」王田は胸が高鳴るのを感じた。「 俺はコイツをブログの大オチに据えて…この腐った世界を変えてやるんだッ…!!」心の中で快哉を叫ぶ王田。しかし運命とはかくも残酷なもの、予想外の事態が彼を襲ったのである。「何だこれはッ!?数が多すぎるぞ!」そう。彼がハントした画像はどれも大層フォトジェニックなものばかり。その中から何枚かを選び抜くことなど到底不可能だったのである。逸る気持ちを抑え、王田は必死に頭を回転させる。やがて、一つの妙案が去来した。それは大量の画像を大オチとして使うのではなく、一つの独立した記事として書くことだった。やるしかないのかッ…額を伝う一筋の汗。空は既に白み始めている。残された時間は多くない。王田は瞑目し、呼吸を整えると、一心不乱にキーボードを叩くのであった…


要するに、前回(http://tsuchihito.com/2019/05/02/誘う街灯/)の最後に持ってこようと思った街灯があったけど、余りにも愉快な画像が多すぎたので、いっそ独立させて記事にしましたよっていう。

とはいえ、前回の街灯たちも十分個性豊かだったと思うんですよ。
ちょっとおさらいしてみましょう。


この辺ですね。

色合いが変わっているもの、ランプのデザインが変わっているもの、通りの名前が面白いものなど、面白さの中にも色々な方向があったと思います。

しかし、今回のはこんなもんじゃないんですよ。街灯の概念がちょっとゆらぎます。



では、早速見てましょう。











人!?

人が乗ってるんですよ。人ですよ!人!

hito!!!






男の子もいるぜっ☆

男女同権の時代ですからね。

スズランの形を模した街灯はありましたが、これはちょっと…もうそういう次元ではないですね。一段違うゾーンに突入しています。祝!!街灯新時代。
この街灯は、柱の上に人が乗っかっていて、その人が持っている提灯が街灯であるという構造になっています。つまり、街灯を柱の部分とランプの部分に分けて捉えているんです。
ランプと柱の間に人をかませることによって、「街灯が何かの形をしていなければならない」という制約から自由になったんです。

これの何が凄いかというと、もう何でもかんでも街灯の一部としてねじ込めるんです。

街灯を持たせさえすればね。

ミミズだって、オケラだって、ゴライアスバードイーターだって~♪ みんなみんな街灯なんだ自由なんだ~♪
もっと言えば、別に持っていなくたって、頭に乗っけていたって、意味ありげに懐に忍ばせていたっていいんです。何でもアリです。
ほら、ちょっと街灯の概念が拡がった気がするでしょ。祝!!街灯新時代。


そう言えば、街灯ハンターとして名を馳せる王田土人さんはこんなことを言っています。

『街灯はやっぱり、並んでいる姿にこそ真髄があるんですよ。』

なるほどねぇ。並んでいる姿かぁ。いやぁ。王田さんはさすが、いいこと言いますねぇ。きっと爽やかでいい匂いがするイケメンなんだろうなぁ。

ということで、並んでいる景色も見てみましょう。









シュール。





商店街を見つける時って、公園と違って正面からぶつかることが多いんですよ。
今回もいきなりこいつと正面衝突をしたんです。これを見せられた日には、「おうおうおう。何やら愉快なのが出てきたぞ!」と否応なしに胸が高まるじゃないですか!

しかも、この提灯を持った男女2人組、入り口用の派手なやつで他は普通だと思ったんです(この辺は、前回の街灯回で書いたところです。街灯のボスですね)。そしたら、なんと全部がこの特別仕様だったっていう。

コイツら…全員スライムナイトだったのか!

すいません。前回のネタです。

いやあ凄いもんに出会っちまったなあと楽しい気持ちになっていたんですが、そう言えば、この商店街、名前をまだ知らないぞと思ったんです。
商店街の名前って実は、どこに書いてあるかあまり統一されていなくて、見つけられない場合もあるんですよ。どこかに書いてあるといいなあ…と思っていたら、





ありましたぜ。キシシシシ。
「ゆたか通り」というみたいですぜ。

あれ…反対側の街灯にも何か書いてあるぞ。






世界一の商店街!


異論の余地はないでしょう。少なくとも私は全くないです。アンタが大将!

さて。柱の側面にも何か書いてありましたね。ちょっと見てみましょう。



いろんな世界一が書いてある!

察するに、我々「ゆたか通り」は商店街というフィールドにおいては世界一。なればこそ、我々と比肩する存在であるところの「世界一の○○」も、あまねくこの世に知らしめるべきではなかろうか。それこそ商店街の頂点に君臨する我々の責務ではなかろうか。
そういった気概が感じ取れますね。いやぁ志が高い!


ていうかダチョウさん、5km先まで見えるってヤバくないか!

いや待てよ。5km先まで見えるのが重要ではなく、5km先にある「何が見えるか」が重要なのではないか。現に我々だって5kmにスカイツリーがあったら、それはやっぱり見えるではないか。そうだそうだ!富士山だって、空気が澄んでいれば東京から見えるではないか!だとすると、真に称賛すべきはダチョウさんではなくてスカイツリーではないのか。
詭弁はさておき、私、タイに住んでいたんですが、タイ人が「バンコク」のことを「クルンテープ」というのは本当です。

世界一の商店街を名乗るのは伊達ではなく、全方位に気合が入ってるんですよ。
ちょっと男の子にも注目してみましょう。






あ!服が違う!

ちゃんと数えてはいませんが、少なくとも5種類はいたはず。スライムナイトだけじゃなく、メタルライダーまで完備といった趣ですね。ドラクエから離れろ
反対側を向いてる男の子もいるんですよ。






これ、家に住んでる人と思いっきり目が合うんじゃ…

と思ったら、男の子は照れ屋さんなのか、ちょっと伏し目がちですね。にしても、バリエーションが豊かだなぁ。

となると、女の子にもバリエーションがあるのかと思いますよね。しかし、血眼になって探してみても女の子は一種類だけでした。かわいそうだったので、正面からもう一枚撮ってあげました。





あ、提灯が顔にかぶっちった!


でも、楽しそうにピースしてるからいいか!
なんてことをやりながら、世界一の商店街・ゆたか通り氏とキャッキャウフフとじゃれ合っていたんですよ。で、あまりにも満喫し過ぎてしまったので、

「あれ?そう言えば、全体の写真って撮ったっけ?」

と、記憶が曖昧になってきたんです。トランス状態というやつですね。いや、多分撮ってなかったよな。家に帰って写真が無かったら悲惨だし、一応撮っとくか!と、もう1枚撮ったんですよ。(いやフォルダ確認すれば済むやん。)

そんなこんなで、保険で撮ったのがこれなんですが…










ん??





いま何か、とんでもないものが写っていたような…
ちょっと拡大してみましょう。











別アングルでもう1枚どうぞ。









さらに男の子もどうぞ。










えらいこっちゃ。


恐れ入りました。マジでぶっ飛ばされましたよ。こんな隠し玉を持っていたんですね。
もはや説明は蛇足だと思いますが、あえて一つだけ言わせてください。

お腹に敷いている白いクッションがツボなんです。

確かにこのクッションがないと、女(男)の子が柱に突き刺さっているように見えてしまって、一層スプラッター風味が増すような。それはそれでちょっと見てみたい気もするんですが。

そこで、この謎のホワイトクッションを敷くことによって、この子たちの衝撃を緩和しているという寸法ですね。この辺に作り手の意図というか、配慮が感じられて、それがこの街灯(もはや街灯かも怪しい)により奥行きを出して、チャーミングにしていると思うんです。

しかもこのクッション、「コレ」用に適当に取ってつけたものではないんです。商店街の入り口に立っている2人は、ちゃんとこのクッションの上に立っているんですよ!(3枚目の全景の写真を見てみてください)



ところで、この2人って一体何者なんでしょうか。和服を着た愛らしい外見ながら、大空にトリップしてもピースを忘れないほど肝の据わった男の子と女の子。何か由来があるに違いありません…
と思っていたら、ズバリ!答えてくれました!









Oh君 と はらちゃま

なんでOh君だけアルファベットなんだよ!
こういうところマジで愛おしい。

書いてある文章をちゃんと読んでみましょう。なに!世界一の商店街たる所以が反対側の街路灯に書いてあるとな!?(ここ、街灯ではなく、街「路」灯と書いてあって地味に感動しました)
これは反対側を見てみない訳にはいかないぞ。








ん、何か分かったような分かんないような。

後ろに年季の入った看板もあります。これも見てみましょう。





右上の妙に存在感を放つはらちゃまはさておき…

Oh君とはらちゃまの偉業について書かれていますね。要約すると…
 「村の人たちを困らせる夜の暗さを何とかしてください」と世衣良姫(せいらひめ)が大原不動に祈ったら、Oh君とはらちゃまが月から現れて、豊かな光に包まれたからみんな Happy たぜ!Hey!踊ろうぜ!ル〇ァンパーティーだ!
 みたいなことらしいですよ。大原不動尊はというのはどうも近くにあるみたいなんですが…

世衣良姫って誰やねん!


というか、2人の名前や商店街の由来が書いてある辺りから察するに、どうやらこっちが入り口だったらしいです。駅から歩いてくると、こちら側が出口になります。ということで、ゆたか通り、ここで終わりです。
いやぁ、世界一の名に恥じない、ゆたか通りを全身で浴びちまったなあ。

果たしてこの先、こんな怪物を超える街灯に会えるんでしょうか。


ゆたか通りには結局、3回くらい通ったんですが、行く度に新しい発見がありました。というか、行く度に新しい衝撃で頭をぶん殴られました。もうほんと観光名所になってほしいくらい。マジパンクだぜ!ル○ァンパーティーだぜ!

最後に、ここで紹介し切れなかった画像をまとめて載せておきます。では皆さん、ごきげんよう。



outa.waruagaki
都内在住。2016年2月までタイに2年半在住。絵を描いたり、街灯のことを書いたり、散歩したり。

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