誘う街灯




いやぁ、街灯っていいも

んですね!





今回は街灯について語る回です。



前々から、街灯には何となく惹かれておりまして、佇まいからしてちょっとアール・デコの匂い、大正デモクラシイのカヲリがするじゃないですか。


それでまあ最近、仕事場まで自転車通勤をするようになったんですけど、これが結構な距離でございまして、労働から解放されると、


俺は自由だーーー!


とばかりに寄り道に寄り道を重ね、そしてまた寄り道を重ね、十二単衣のごとく寄り道を重ねまくって、青春を謳歌しているんですよ。

といっても、野放図に寄り道の限りを尽くすと一生家に帰れなくなってしまうので、おっと、ここを曲がってみようぜ!みたいな気分にさせる何かを足掛かりにして、道を逸れて行くわけです(変な看板とか、知らないスーパーとか、公園とか)。

その中でも、かなりの確率で街灯に吸い寄せられている自分に気づいて、本格的に街灯を意識するようになってきて…








あれ!?私、この人

のこと好きかも///




てな具合で。



いやしかしですね…
そんならお前は街灯ならなんでもいいんか!この節操なし!というと、これがまたそうでもなくて、街灯の中でもちょっと「ヘンなやつ」がおりまして、デコってあるやつ、メルヘンの空気をまとっているやつがいるんですよ。それがなかなかいとをかしというか、あはれなりというか、らうたげなりというかでして…

で、そいつらこそ、商店街の街灯なんですよ。お巡りさんこいつです。

街灯に詳しく都市計画の専門家であられる google 大学の Wikipedia 博士によると、そういうデザイン性の高い街灯は、街「路」灯というらしいんですよ。


路ですよ路!路!


この一文字の存在によって街灯のデザイン性が上がりまくりです。
オシャレな街灯は路で決めろ!皆さん、覚えておきましょう!









路!


さて、そろそろ身体が街灯を欲してきた頃合いだと思われるので、ここらでちょっとステキな街路灯のテンプレを見てみましょうネ。






この辺がテンプレです。



ライトの部分が2つ、道路の方を向いていて、色は白系と黒系が多いです。よーく見るとライトのカバー部分に模様が入っていたりして、テンプレながらもちょっとずつ違っていてこれだけでも十分面白いんですが、


世の中には個性豊かな街灯がたくさんありまして…

やはりこれからは「個」の時代だと思うんですよ。
街灯にも抗しがたい個人主義の波が押し寄せてきて、1つ1つの街灯が自分に合ったライフスタイルというかランプスタイルというかを模索する時代に突入したとかしてないとかで、とにかく街でハンティングした街灯の中から味わい深いものを「街灯コレクション2019・春 ~令和の風に乗せて~」と題しまして、少し載せてみようと思います。



先ずはこれ。





簡素!!



そっけない感じがたまらなくないですか。ランプの数が一つなんですよ。このパターンは意外とレアキャラでして、ちょっと、頼りない、心もとない感じが逆にそそられます(謎)。夜になって明かりがぼうっと灯ると、妖しさがより深まって、知らない世界へと誘い込んできそうです。



ではエントリーNo.2!





レトロですね。デザインもさることながら、ペタッとした優しい色味がモダーンなあの頃を思い出させます。



ところで…



文化モードって何だよ!

察するに、アレですね。モードが複数ある。つまり変身するんですよ。
で、この時は「文化モード」っていうモードだったんですよ。きっと曜日とか時間とか混雑状況とかその日の気分とかでモードを変えてきよるんすよ。いや強敵だぞこれは。

例えば、文化の対義語である(らしい)ところの「自然モード」みたいなのもあって、夕暮れ時とかになると、可憐にあしらわれているチューリップがもう野生をむき出しにしてビオランテの如く暴れ狂ったりするんですよ。買い物客のカゴから豚肩ロース300gとかをすっと引き抜いてべろんと丸飲みしたりするんですよ。いや強敵だぞこれは。




さて、植物つながりでもう1つ







すずらん?


これ初めて見た時にビックリしました。
街灯って自由だなぁ!って。

どちらかというと、街灯はランプの形や数が変わってるとか、柱の色が変わってるとか、そういうので個性が出ると思っていたんです。でも、柱の上にズバリ「そのもの」を乗っけてやろうっていう前衛的な奴がたまにいるんですよ。こういう過激派は大体面白いです。


では、次!どんどん行きましょう。









これまた何とも…



別の意味で攻めているというか。近未来的というか何というか。
ちょっと SF 映画に出てきそうな独特のデザインですよね。一昔前の。
いやあ、宇宙の神秘を感じるなぁ。


あ…あと、なんか美味しい今川焼きとか焼けそうですよね!

しかも、安心の3つ体制なので繁忙期にも対応!みたいな。さて、エッジの効いたフォルムもさることながら、



ホッ・・・とすとりーと

これですよ!ホッとすとりーとじゃないんですよ。
ホッ・・・とすとりーとなんですよ。「なかぐろ」が3つですよ。
生半可な「ホッ」ではないですよ。宿命の怨敵と相見えて烈しい死闘を繰り広げた末に、スレスレのところで生き永らえた時の「ホッ・・・」ですよこれは。

いや、もしかしたら、ホッ・トストリートなのかも。
戦後間もない昭和30年台前半…近所には日本文化史を研究しているホッ・トストリートさんが住んでいました。研究もひと段落して祖国へ帰る直前、日本への感謝の気持ちと慣れ親しんだこの地の繁栄を願い、死力を尽くしてこの偉大な商店街をぶっ立てたのかも。
その功績をたたえるべく、なかぐろを2つ増やしてトストリート氏の名を冠した商店街の名前にしたのかも。




とにかく、ホッ・・・と一息ついたところで、最後の一枚行きましょう。







武骨ですね。


大好きなんですこれ。今までハントした街灯の中でどうにもコイツだけ浮いてるんですよ。
街灯のデザインって割りとみんなクネッとしていたり、なよっとしているのが多くて、そこが街灯特有の妖しさを醸していていいところではあるんですけど、コイツだけは違いますね。気骨がありますね。骨太です。


武骨!気骨!骨太!とにかく骨です!骨!





骨!



直線的でどっしりとしたライトが一つという潔いデザインもさることながら、色がまた際立っています。素材感丸出しの素朴な銀と、そして何よりこのオレンジ!
ペタッとしたパステルカラーが多いなかで、このオレンジは力強い。ワイルド!

いやあ、やっぱり骨がありますね!







路!




1枚目に紹介したそっけない街灯が塩対応のアイドルなら、最後のコイツは死に場所を求めて彷徨う武士ですね!





ここまでは単体として街灯を見てきたんですが、それだけでは街灯の魅力を十分語っていないと思うんです。
街灯はやっぱり、並んでいる姿にこそ真髄があるんですよ。


街「路」灯が商店街の一部であることを踏まえて、じゃあ商店街のなかでの街路灯の役割とは何か?と考えみます。もちろん夜道を照らすという役割もあるんですが、「この商店街はここからここまでですよ」と示す役割があるはずなんです。
だから、街灯の本来の姿は単体で1本、ひょろりと突っ立っているのではなくて、幾何学的にずらっと配置されている状態なんですよ。この景色でこそ街灯の真の妖しさが発揮されるわけです。

まあつべこべ言わず、ちょっと見てみましょう。







妖しいでしょ。



奥に向かってランプがずーっと並んでいると、思わずそこに吸い寄せられてしまいますよね(羽虫か!)。何か自分の知らないワンダーランドと繋がっているような感じがします。

この吸い込まれそうな妖しさこそが街灯のキモだと思うんです。



とまあ、街灯の神髄に触れたところで、最後にもう一ネタ。実は街灯には…






ボスがいるんで

すよ。




何のことかというと、先ほど街灯には商店街のテリトリーを示す役割があるんじゃないかと言いました。その役割が最も際立つのはどこかと言うとそれはもちろん、入口(出口)です。
商店街によっては、入り口のところにデカいゲートがあって、それが街灯のボスのごとく買い物客を待ち受けているんです。

では早速、見てみましょう。






この手のボスたちは役割上、商店街の名を冠したプレートを高々と掲揚していることが多いです。みなぎる自信の発露ですね!
普通の街灯がスライムだとすると、かれらは差し詰めスライムナイトといったところでしょうか。後ろに連なるノーマルな街灯とデザインの関連性を探して観察してみると楽しいです。まあ個人的にはむしろ全く関連がないパターンの方がシュールで好きですが


にしても、「油面地蔵通り」って…

よーじやのあぶらとり紙をそっと差し入れたくなるような名前です。



しかし、このボスたちにはさらに独自の進化を遂げたものたちがいて…

次に出てくるのはキングスライムです!









ここまで来ると、もはや街灯ではないですね。


ゲートと呼んだ方がふさわしいでしょう。かなりいい味を出しています。見た目のインパクトは抜群です。

商店街ってそもそも、いで立ちからして日常とは微妙に異なる空間だと思うんですよ。
日常にしれっと溶け込んではいるけど、明らかに普通とは違うエリアですよね。ディズニーランドほど大掛かりで完璧ではないけど、ゆるいテーマパークだと思うんです。この辺は公園とも共通している点で、そこがまた好きなところなんですけど。

で、ゲートに関してはもう完全に異世界の入り口と化しています。ものすごい浮いてます。こんなにメルヘンなものが住宅とか、交通標識とか、提灯とか踏切とかに紛れて、澄まし顔で日常に溶け込もうとしている姿って、何か面白くないですか。


だって、最後の一枚なん

て、鳳凰がいますから!


とまあ、こんな感じで街灯の面白いところをだらだらと書き散らしてきて、実は最後に大オチとして持ってこようとした街灯があったんですが、


それが余りにもぶっ飛び過ぎていて、


これはむしろ、一つの独立した投稿にした方がよいのでは…ということに相成り候へば、次回、まさかの街灯回パート2です!

outa.waruagaki
都内在住。2016年2月までタイに2年半在住。絵を描いたり、街灯のことを書いたり、散歩したり。

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